muroyanの日記

ピアニスト、作曲・編曲家、むろやんのブログ

ピアノ協奏曲「皇帝」のソリストをつとめました 矢吹町

muroyan2016-12-17

 本日、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」のソリストを、無事、つとめて参りました。会場は福島県の矢吹町文化センターでした。協演は、いつもお世話になっている、N響団友オーケストラでした。指揮は、茂木大輔先生でした。
 本日のコンサートは、「ベートーヴェン 二つの5番」と題し、ピアノ協奏曲「皇帝」と交響曲「運命」のプログラムでした。冒頭には、同じくベートーヴェンの「エグモント序曲」が演奏されました。
 リハーサルは前日の1回のみ、昨日の今日でゲネプロ、本番という過酷なものでした。昨日のリハーサルは、オーケストラを前にして本当に大変でした。「オーケストラの一員」としての演奏なら何回もしているし、ピアノ協奏曲風なナンバーも毎回こなしていますが、「純クラシック」の曲で、何十人ものオーケストラをバックに、たった1人で「協奏曲」のソリストをつとめるという大役に、プレッシャーで押しつぶされそうになっていました。(実は生まれて初めてでした・・・。)
 今日のゲネプロでは、全曲通してもらい、本番は、もう一瞬でした。(38分の大曲なのに!) 細かいミスもたくさんありましたが、リハーサルと本番を通して、「オーケストラをストップさせるような」アクシデントがなかったのは幸いでした。
 本番では、(雑念も交えて)いろいろな思いが去来しました。亡き母も見てくれているかなぁとか、ここをとちるとえらいことになるなぁとか・・・。
 指揮の茂木先生も、最大限サポートしてくださり、本当に感謝です。全曲が終わった後、客席を差し置いて、まずは指揮者に握手する、というクラシックコンサートの慣習を、僕も一度やってみたかったのですが、その理由がわかったような気がします。
 オーケストラのサポートもさすがでした。少しずつ少しずつ(ピアノに)余裕が出てきて、アンサンブル(室内楽的な)としての醍醐味も味わうことができました。
 アンコールはまったく打ち合わせをしていなかったのですが(やるともやらないとも)、茂木先生が「弾きなさい」とジェスチャーしてくださったので、あらかじめ用意しておいた、ベートーヴェンの「悲愴」ソナタの第3楽章を演奏しました。最初に、「ホワイトクリスマス」の短いイントロダクションをつけて、そこからシームレスに「悲愴」へとつなぎました。超prestoの演奏になってしまい、我ながら焦りましたが、なんとかppの部分もあり、アンコールし終わってほっとしました。
 このお話(「"皇帝"のソリストをつとめませんか?」)をいただいたのが今年の6月ごろだったと記憶しています。あまりの大役で、さすがに即答できなかったものの、3,4日で「どうするの?」と返答を迫られ、思わず「やります!」と返事しました。それからほぼ毎日、さらいつづけ、椙守先生のレッスンにも通い、2台ピアノ版でも練習し(大導寺くんがつとめてくれました)、練習を続けました。1からの譜読みだったので、最初の頃が本当に大変でした。
 練習嫌いな僕のため、自宅でさらうときにはいつも父がそばにいました。父には今回、本当にお世話になりました。ありとあらゆるサポートをしてくれました。これがなかったら、今日の本番もなかったと思います。本当に感謝です。
 コンサートには、父、兄、妹、親戚のおじさん、おばさん夫婦も来てくれました。また、久保さんのご夫婦も遠くから駆けつけてくださり、ありがとうございました。客席もいっぱいで、たくさんの拍手をいただけました。(正面を向いて挨拶しながら、客席を見る余裕は、まるでありませんでした。)
 これで「皇帝」からしばらく解放されるかと思うと、ほっとする反面、ちょっと寂しい気もします。今日の演奏を最初で最後の企画に終わらせず、また新しいピアニストとしての人生の区切りにできたらと思っています。
 本日ご来場の皆さん、キャスト、スタッフの方々、ほんとうにありがとうございました。お疲れさまでした!