muroyanの日記

ピアニスト、作曲・編曲家、むろやんのブログ

東京新聞フォーラム「指揮者がみたフィンランド」

かわいいムーミンの人形

 霞ヶ関のイイノホールにて、東京新聞フォーラム「指揮者がみたフィンランド」を聴いてきた。
・第1部 講演「SUOMIの魂」新田ユリ(指揮者)
・第2部 演奏「SUOMIの響き」指揮:新田ユリ、オーケストラ:日本フィルハーモニー交響楽団
♪シベリウス 即興曲
♪シベリウス ラカスターヴァ〜愛するもの〜
♪ラウタヴァーラ ペリマンニ〜田舎の楽士たち〜
♪エングルンド 交響曲第4番
♪シベリウス アンダンテ・フェスティーボ(アンコール)
 新田さんはフィンランドと日本で活躍する指揮者。昨年行った、森と湖の詩コンサートの主宰者でもある。SUOMIというのはフィンランドにおける自国の呼び名である。
 第1部は講演会。フィンランドの紹介から始まって、フィンランドの現在の音楽事情であるとか、フィンランドの教育のことまで幅広く論じる。
 講演会は一種の「交響曲」になぞらえ3楽章構成。フィンランドを語る三つの「S」として第1楽章はSAUNA(サウナ)のS、第2楽章はSIBELIUS(シベリウス)のS、第3楽章はSUSIのSとして話が進んでいった。SUSIというのはフィンランド語で「ねばり強い」とかいう意味だそうである。
 講演中、あの「東郷ビール」は日露戦争がきっかけで発売されたわけではなく、1971年発売とのことや、フィンランドのソルフェージュ教育で、ピアノを使わないときがあることなど、興味深い内容だった。新田さんはお話がうまい。
 第2部は演奏会。日本フィルハーモニーの弦楽部、打楽器セクション、チェレスタによるコンサート。管楽器は今回いなかった。
 シベリウス2曲は即興曲がピアノ曲の、ラカスターヴァが合唱曲からの弦楽合奏編曲もの。どうも演奏が手探りの感があった。
 ラウタヴァーラからは俄然オーケストラが調子を上げてきた。ペリマンニは新古典的な内容。1972年の作。調性的な匂いもするが、わりと新しい手法も使っていた。5楽章からなる。
 エングルンドの交響曲第4番は、弦楽、打楽器、チェレスタによる小編成のもの。4楽章からなり、楽章ごとにサブタイトルが付いている。1976年作曲で、第1楽章はかなり調性の匂いがするが、楽章を追うごとに現代的になっていく。かなり無調っぽいときもあった。ときどきはっとするような音、音色の使われ方もあった。
 アンコールはシベリウス晩年の作。弦楽四重奏を弦楽合奏にアレンジしたもの。オーケストラがとても伸びやかに生き生きと演奏。よかった。会場からも盛んな拍手。
 受付にはフィンランドで生まれたあの「ムーミン」の人形があったので、今日の写真はそれである。ムーミンは日本だとアニメで有名だが、フィンランドではだいぶ哲学的な内容のものなんだそうである。
 来年はシベリウス没後50年とのこと。こういった企画によってフィンランドへの理解が深まればいいことだと思う。
 余談だが、今日のオケの中に、昨年の夏、赤毛のアンでご一緒したヴィオラの馬場さんがいらっしゃった。終演後声をかけたらわかってくれて、ステージの上と客席でちょっとお話をしてしまった。
●今月行ったコンサート、芝居の本数・・・8本。