muroyanの日記

ピアニスト、作曲・編曲家、むろやんのブログ

「踊るサテュロス」「芸大美術学部卒展」「佐藤まどか演奏審査」

開場間近、長蛇の列

 上野にある東京国立博物館で特別展示されている「踊るサテュロス」を見た。
 地中海から引き上げられたもので、修復して(像自体にかなり欠落があるが)特別展示されているのだ。国外に展示するのは今回が最初で最後になるかも知れないという。
 展示は博物館敷地内にある「表慶館」内である。この建物に入るの、すごく久しぶりだなぁ。なんかずっと閉鎖されたままになっていたから。前回入ったのは僕が中学生のときじゃなかっただろうか。なお、今回の展示に合わせて特別に入口が設けられ、正面入口からは入れないようになっていた。
 肝心の像だが、躍動感があった。あとから加工されたという髪の部分も見事なものだ。完全な形で引き上げられていればと思わず感じてしまう。
 像の周りは360°歩けるようになっていて、後方は段になっているので遠くからでも見渡せるようになっていた。
 この一点だけの展示で特別料金を取るのだ。ほかには触ってみることが可能な復元模型(鋳造や石膏(?)製)が何点かあるのみである。あと売店と。(サテュロスストラップはちょっとほしかったな。)
 そのあとは都美術館で「東京芸術大学美術学部卒展」を見た。
 metroさんの大学院修了作品を見た以来だから随分久しぶりである。行こうと思って行ったのではなく、「都美術館に立ち寄ったらやっていた」てな感じ。会場は芸大美術館などにもあったようだが、都美術館内のものだけ見た。
 工芸、油絵、日本画だが、「多様性」だなぁ・・・。日本画はわりとスタイルが一貫しているのだが、油絵に至っては「これ油絵じゃないなぁ」というものも展示してあった。(「油絵ではない」というのは単純に「油絵」に当てはまらない、という意味であって、「油絵の名に恥じる」という意味合いではない。)黒い幕が円筒状にあって、「入口」から入り3分ほどお待ちください、という作品があって、入ってみたかったが先客がいたりして入らなかった。ちょっと惜しかった。
 しかし教官たちはこれらの多種多様な「作品」をどう評価するのだろう。クラシカルな作品もあったが、多くは「とんがって」いたぞ。四コマ漫画(それも描き込まれてはいない)とか、DVDを流しているものもあった。(1000円でそのDVDを買えるそうだ。)
 そのあと芸大の奏楽堂に行って佐藤まどか博士課程学位審査会(演奏審査)「Jean Sibelius 2つの協奏曲」を聞いた。
●Jean Sibelius 2つの協奏曲
ヴァイオリン・佐藤まどか 指揮・広上淳一 オーケストラ・芸大フィルハーモニア
シベリウス「ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 HUL0434(1903/4)オリジナル・ヴァージョン」(本邦初演)
シベリウス「ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47(1905)ファイナル・ヴァージョン」
使用楽器・A.stradivarius1716
 いい席で聞きたいと思って開場20分前(開演の50分前)に行ってみたらすでに30〜40人くらい並んでいた。開場時には長蛇の列になっていた。高校時代の先生や芸大時代の作曲の同期の友達も来ていた。
 まどかちゃんとは高校時代からの同級生で、彼女とはこの「ヴァイオリン協奏曲」を、あるコンサートで伴奏したこともある。(随分前の話だが。)思い出深い曲なのだ。クラシックのヴァイオリン協奏曲の中で一番好きな曲だし。
 さて、シベリウスの2つの協奏曲とは、初稿版と現行版なのだが、実際に初稿版を聞いてみると現在普通に演奏会で聞くものとはかなり異なっていた。全体的に「技巧的」なのだ。第一楽章と第三楽章については小節数も異なっている。第一楽章のカデンツァにオーケストラ「伴奏」がついていて驚いた。第二楽章では終わり間際に変な(失礼、変じゃないのだが)カデンツァが付いていた。どこの楽章だったか、ピチカートも見られた。あとオケのコードが現行版と違っていて随分印象が違っていた箇所もあった。このコンチェルトに初稿版があるのは知っていたが、ここまで違うとは・・・。いやもちろん全体の枠組みは同じなのだが、微妙な差異がやはり印象深いのだ。大変意義深い「日本初演」だった。(この初稿版はフィンランドと英国以外では演奏されたことがなく、今回の演奏は特別に許可を得てのものだそうだ。)
 現行版(現在コンサートやCDで聞くことのできるバージョン・・・このバージョンの初演の指揮はリヒャルト・シュトラウスだそう)の演奏はさすがに堂に入ったものだった。ヴァイオリンもよく鳴り響いている。高音の余韻のすばらしさは何とも言えない。
 惜しむらくはちょっとだけ音程が甘くなった箇所が一、二カ所あったくらいか。別に気にならないが・・・。
 オケは芸大オケだからねぇ・・・。まどかちゃんもかなり大変だったのではないか。途中金管が鳴り響き過ぎなところがあった。(指揮者の指示が悪いのだが。)
 ストラディヴァリウスの生の音って初めて聞いたなぁ。前にまどかちゃんが「ストラディヴァリウスはやっぱりいいわよ〜」としみじみ語っていたのを思い出した。
 今日の演奏審査は終了後口頭試問があるために、終演後のまどかちゃんへの面会はできなかった。(ロビーにメッセージを書く紙があったのでそれに記入してきた。)
 まどかちゃん、本当におめでとうございます&お疲れ様でした! 素晴らしいコンサートでした。
●東京国立博物館のサイト・・・http://www.tnm.go.jp/jp/servlet/Con?pageId=X00/processId=00
●東京芸術大学のサイト・・・http://www.geidai.ac.jp/