muroyanの日記

ピアニスト、作曲・編曲家、むろやんのブログ

「ラ・トゥール展」「版画展」「中宮寺菩薩半跏像」

ラ・トゥール展の看板

 上野でいろいろと見てきた。
 まず国立西洋美術館で「ジョルジュ・ド・ラ・トゥール展」。死後忘れ去られ、近年劇的な再評価を受けているという画家だ。
 全体的な画調は暗めだが、灯りの描き方が素晴らしい。ろうそくの炎、遮られたところから漏れる光の表現は何とも言えない味わいがある。
 また、今回の写真(小さくてわかりにくいが)の「ダイヤのエースを持ついかさま師」もよかった。中央の女(明らかにいかさま師なのは左端の、ダイヤのエースを持つ男だが、この女もいかさま師の一味か?)の目の表情がいいと思った。なんか、「悪だくみしてるよ〜」って感じである。絵の題材は聖書にモチーフを求めている。ほかにも宗教画の一環で描かれている絵がほとんどだった。
 会場地下にはマルチメディアで見るラ・トゥール展というのがあり、関連書籍が自由に読めるのと、映像展示、パソコンでラ・トゥールのCD-ROMを閲覧できるようになっていた。このうち、モニタで放映される映像は、CD-ROMの内容と同じようである。
 CD-ROMはちょっと内容が古くさいかな。(作りとして。)クリックすると作品の音声解説が流れたり、当時の教会の内部を自分で「設計」したりできる。
 同じ美術館内で常設展の延長として、「マックス・クリンガー版画展」が開かれていた。こちらはざっと見てしまったのであまり感想がない。版画は複製が容易だから(作品の希少性を高めるためにある程度刷ったら原板を破棄する場合もあるらしい)、どうも興味が薄れてしまう・・・。作品は19世紀末の雰囲気を出していたと思う。
 東京国立博物館では、特別展示されている「中宮寺 国宝 菩薩半跏像」を見た。これ一体の展示で特別料金が設定されている。(同時公開されている、先日見た(実は今日も見た)「踊るサテュロス」とセットで見ると割引扱いになる。)
 この仏像は僕でも知ってるくらい有名なもので、実際に実物を目にしてみると何とも言えない古い良さがあった。仏像のアルカイックスマイルが印象に残る。
 この仏像は飛鳥、白鳳両期の特徴を遺していて、大陸からの影響を脱して日本独自の仏像だそうだ。完成当初は彩色されていたらしいが現在の黒光りする方が落ち着いていると思う。
 お寺では見ることのできない後ろからも眺めることができる。ちゃんとチラシにも「お寺では絶対に見ることができない後ろ姿もじっくりご覧いただけます。」と書いてあった。後ろ姿はすっきりしているというか普通(?)だった。
 仏像の照明協力はヤマギワだそうだ。像の後ろにシルエットが映るようになっていた。
●国立西洋美術館のサイト・・・http://www.nmwa.go.jp/index-j.html
●東京国立博物館のサイト・・・http://www.tnm.go.jp/jp/servlet/Con?pageId=X00/processId=00
●ヤマギワのサイト・・・http://www.yamagiwa.co.jp/top.html