muroyanの日記

ピアニスト、作曲・編曲家、むろやんのブログ

「着メロはお気に召すまま!」「Show The BLACK II」

新しくなったシアターグリーンの玄関

 昼は池袋のシアターグリーンで、CAPTAIN CHIMPANZEE公演「着メロはお気に召すまま!」千秋楽のマチネを観てきた。(第17回 池袋演劇祭参加 シアターグリーンプレ公演 作・演出 坪田直也)
 この劇団のお芝居は2005/1/27にも観ていて(ブログ参照)、自分でブログを観るまであまり思い出せなかったのだが・・・。
 「こういうのを芝居の醍醐味というのだろう」・・・金(きん・・・黄金)の携帯を使うと、通話した相手の姿に(短時間)変身できてしまうというちょっとすごい設定である。(劇中には幽体離脱してしまう」というシーンもあった。)
 これをTVドラマや映画などでやるのならばたやすい。しかし生の舞台に乗せるのには二重、三重の仕掛けが必要である。変身先の相手も、変身前の相手に心情がなっていないといけないため、演技力も必要とされる。
 「着メロ〜」は2時間の長丁場なのだが、細部まで行き届いた演出、脚本によってすべてが納得させられてしまう。
 面白かった演出の一つに、劇中で鳴る携帯の着メロが今をときめく「恋のマイアヒ」(飲ま飲まイエィの曲)であった。これだけで客席から笑いが起こる。(私も笑わせてもらった。)
 登場人物のキャラもよく立っていた。最初は好人物に見えた人が違っていたりして深みがあるし、それぞれの役ごとにおいしいシーンがあったりして演じる方も楽しかったのではないか。
 この舞台は「幸せとはなにか」ということをモチーフにしている。幸せとは童話のように単純なものではないのだ、複雑なものであることを示しながらも、最後はハッピーエンドで締めくくり心暖まる感動で満たしてくれる。観ていて気持ちのよい舞台だった。
 なお、この劇場は新しく改築されたもので、劇場を見に行くこと自体も今日の楽しみの一つであった。(新装の劇場で、一番最初に上演されたのが本公演である。)
 公演は今日まで。
 夜は下北沢のザ・スズナリにて、大川興業第30回本公演「Show The BLACK II〜イウ コエ オト〜」初日の舞台を観てきた。(作・演出 大川豊 出演・未公表)
 90分の舞台中、ただただ真っ暗闇のままという特異な舞台である。聞こえるのは声(セリフ、効果音、BGM)だけ、見えるのは劇中でホタル(蓄光で表現していた)と終盤のボクシング試合シーン、そしてスクリーンに映し出される象徴的な短い映像のみという徹底さだ。
 これが従来のラジオドラマやリーディングと異なる点は、真っ暗闇であっても役者の演技、息づかいが確かに感じられるというところだろうか。妙に緊張感、緊迫感があるのだ。
 物語は、生体心肺移植を受けた盲目のボクサー志望青年が、ジムに入門しさまざまな事件(シーン)をへてボクシングの試合に出場し、相手からダウンを奪うまで。
 生前のドナーの好みや嗜好を受け継ぐという設定になっていた。
 脚本は自然な言葉で書かれており、ときどきギャグを交えて笑いを取りながらも一直線に進んでいく。演技は声だけだが、確かな稽古の積み重ねを感じさせる手堅い舞台になっていた。(女性の登場人物が一人だけいるのだが、それも男性役者が演じていたようだ。)
 蓄光によるホタルのシーンが、その妖しげな美しい光と相まって効果的で印象に残った。
 公演は19日まで。
●CAPTAIN CHIMPANZEEのサイト・・・http://capchim.suki.net/
●大川豊興業のサイト・・・http://www.okw.co.jp/index.html