muroyanの日記

ピアニスト、作曲・編曲家、むろやんのブログ

第2回 大学院博士後期課程 橋本美香ソプラノリサイタル

会場の様子

 上野の東京芸術大学第6ホールにて、「第2回 大学院博士後期課程 橋本美香ソプラノリサイタル」を聴いてきた。(ピアノ・鈴木真理子、ヴィオラ・小峰航一)
 プログラムは以下の通り。(アンゲルス〜の4曲と、あと1曲は本邦初演。)
●パウル・ヒンデミット作曲
♪アンゲルス・シレジウスの詩による4つの歌曲
♪アールガウ地方方言による愉快な歌曲 作品5
♪オスカー・コックスの詩による2つの歌曲
♪歌曲1942 より抜粋
●ヘルマン・ロイター作曲
♪5つの古典頌歌 ルドルフ・バッハの翻訳、サフォーの詩による 作品57(ヴィオラ・小峰航海)
 ヒンデミットの歌曲ってどんなだろうと思って興味津々に足を運んだ。会場の第6ホールは、僕も学生時代に何回も作品発表したり、演奏をしたりしたところである。ヘルマン・ロイターは1985年没の作曲家で、教育家としては武蔵野音大でも教えたり、ピアノ伴奏者としてはディースカウやシュヴァルツコップらと共演したこともあるそうだ。
 未出版・本邦初演の「アンゲルス・シレジウスの詩による4つの歌曲」は、かなりシリアスな響きをしていた。第1曲の冒頭が歌から始まる。(特にピアノで音を上げたりしていなかったけど、ちゃんと始まった。)かなり先鋭的だった。
 あとのヒンデミット曲は広義の調性音楽の範疇に収まっていた。(調性感はかなり曖昧だが。)
 ヘルマン・ロイター作品は、後期ロマン派風。調性感は曖昧だが、ちゃんとあった。ソプラノとヴィオラ、そしてピアノの三重奏。ヴィオラは声によく合うなぁ・・・。
 演奏だが、橋本さんの声はとても快く響く。leggiero(軽い声)に思えたが。(違ってたらごめんなさい。)高音が出ても全然耳障りでない。ベタな感想だが、当夜の全24曲をすべて暗譜で歌っていたのは立派。歌詞にしたってドイツ語あり、英語、フランス語、スイス・ドイツ語のさらに方言というものまであったのに・・・。歌詞はすべてプログラム中に掲載されていたので、曲によっては歌詞を見ながら聴いていたのだが、発音も明瞭であった。
 ピアノの真理子先生も特筆すべきもの。真理子先生は、僕の恩師の清水雅彦先生の奥様である。まさに伴奏(と言っては失礼だが)で、全然うるさくない。ff(フォルティシモ)であっても前面に出てこない。素晴らしかった。
 惜しむらくは、6ホールなので、外の音がバンバン入ってくること。それは残念であった。
 18:00に始まって、途中10分間の休憩があったが、19:05には終わってしまった。(アンコールはなし。)
 いいリサイタルであった。