「闇に浮かぶ やわらかな光」「嗚呼、お前もか・・・。」
町屋にあるムーブ町屋にてTHE SCAR-FACE公演「闇に浮かぶ やわらかな光」本日のマチネを見てきた。(作・演出 RUKINO)
サスペンスでホラーでコメディを銘打っていたのだが、なんというか、可もなく不可もなし、って感じの舞台だった。
まず、役者の演技力にムラがある。うまい人はうまくて別にいいのだが、なんかセリフ棒読みの人も・・・気になった。もうちょっと(いわゆる)舞台的な演技に近づいていってもよかったのではないか。なんとなく中途半端。
脚本の至る所にちりばめられたギャグは面白く、けして寒くはなかった。爆笑というほどではないにしろ、作者のセンスがよいのだろう。
全体を通してみて、「主題(テーマ)」がはっきりしないような気がした。もちろんそんなものなくてもいいのだろうが、作品を貫き通す一本の太い枝、のようなものがほしかった。
今回の公演は再演だそうで、初演と比べてそれほど大きい変更は加えていないそうだ。(まったく同じでもないそうだが。)これは再演ものでは珍しいといえると思う。
しかし平日のマチネ、会場は小劇場というよりはホールで、後ろの方の席は殺していたにせよ、客の入りがいまいちだったのは残念。こういったホール公演の課題だろう。一般的な小劇場よりキャパが一回り大きい分、客席を埋めるのはなかなか難しいというものだ。
公演はあと一回。明日の夜まで。がんばってください。
夜は下北沢にある「劇」小劇場にて、劇団宝船公演「嗚呼、お前もか・・・。」二日目の公演を見てきた。(作・演出・出演 新井友香)
全体を通して、筋の通った、芝居らしい芝居だった。役者たちも粒のそろったいいアンサンブルをしていた。
随所にギャグが織り込まれるのだが、本当に笑えて気持ちのいいものだった。特に主演の女の子は自由闊達に演技をしていて、見ている方が全然恥ずかしくない。作・演出、そして出演もしている新井友香さんは、芝居の重要なポイントを担う役所だが、いい味を出していた。
惜しむらくはラストの冗長さ。公演自体は2時間だったので、長すぎるということはないのだが、もうちょっと歯切れのよいラストを見せてほしかった。まだ終わらないの? という感情を何回も抱かされた。常々思うことだが、ラストが気持ちいい芝居というのはなかなか出会わないものだ。
音響効果もよかった。クラシック音楽が何回か使われていたのだが、父と娘でセックスをするというシーンでクライスラーの「プニャーニのスタイルによる前奏曲とアレグロ」の冒頭が使われていたのがばっちりはまっていた。選曲者のセンスの良さを感じた。
公演は12日まで。がんばってください。
●THE SCAR-FACEのサイト・・・http://www.scar-face.net/
●劇団宝船のサイト・・・http://www.highlegjesus.jp/takara/index.html