muroyanの日記

ピアニスト、作曲・編曲家、むろやんのブログ

「売り言葉」「桜姫表裏大綺譚」

「劇」小劇場に届けられた花

 昼は、下北沢にある「劇」小劇場にてオフィス・たま第4回公演「売り言葉」二日目のマチネを観た。(作・野田秀樹、演出・小田嶋学)今年の初観劇だ。
 「智恵子抄」をモチーフにした、安藤雅子の一人芝居である。一人芝居に当たりなしというのが持論なのだが、今回はよく頑張っていたと思う。
 まず所作が美しい。安藤さんは終始和服姿なのだが、一つ一つの動作がきりっとしていて見ていて気持ちがよかった。演出の小田嶋さんは「女らしく」「かわいくない!」などと散々言われたそうだが、僕は全体的に男らしさというか凛々しさを感じた。
 舞台セットがいくつか大きなパーツに分かれ(一つ一つは木と紙を組み合わせた和テイストの家具調でシンプルなものである)、黒子によって随時移動させられてときには居間、ときにはアトリエとさまざまに変化していくのだが、舞台美術のセンスの良さを感じさせた。黒子の人はたまに(無言ではあるが)ちょっとした演技もあったりして大変だったと思う。
 照明は、あまり色を使わず淡々とした印象だったが、それが逆に効果的だった。
 で、野田秀樹の脚本である。以前友達から、「室谷さんには野田秀樹の脚本は面白く感じられないかもよ〜」と言われていたのだが、それが(不幸なことに)当たってしまった。魅力ある脚本に感じられないのだ。(ラストを除いては。)演劇的にはいい脚本なんだろうが・・・。
 公演は9日まで。頑張ってください。
 夜は、江東区にあるベニサン・ピットにて流山児★事務所公演「桜姫表裏大綺譚」(さくらひめ おもてうら だいきたん)三日目のソワレを観た。(原作・鶴屋南北、脚本・佃典彦、演出・流山児祥)
 「2005年新春流山児かぶき 2本連続公演 恋の炎の南北オペラ」と題された二本立てのうちの一本だ。(もう一本の「盟三五大切」(かみかけて さんご たいせつ)も後日観に行く予定。)
 原作は江戸時代の作品だが、大胆に脚色されて時代背景はあまり感じさせない舞台だった。そしてとにかくエネルギッシュ。歌あり、踊りあり、殺陣あり、確かな演技あり・・・。主役(だと思う)の桜姫を演じた女優さんが巧かった。何役かをこなすのだが、演じ分けが確かだった。途中この女優さんが口のきけない設定のシーンがあり、そういったところは演じるのも苦労したのではないか。
 舞台装置は可動式の、車輪が付いた大きなものが二台出て舞台をぐりんぐりん移動するのだが、ベニサン・ピットの広い舞台によく映えていた。舞台後方は区切られそこでも演技があるし、二階のキャットウォーク(?)でも芝居があった。
 ややラストが冗長だったのが気になったが、大勢の役者たちが織りなす迫力ある舞台はエンターテイメント性にあふれ、新春にふさわしい楽しい公演だったと思う。
 演出の流山児さんもほんのちょっとだけ出演していた。この人、ほんとに芝居が好きなんだなぁ・・・。根っからの役者、芝居好きって感じだ。流山児★事務所は活動が活発で今年は海外公演も行うという。外国ではこの事務所の公演はどう評価されるのだろう。なかなか興味深い。
 公演は16日まで。(13日は休演。)千秋楽まで長丁場。頑張ってください。
●小田嶋学さん(「売り言葉」演出)のサイト・・・http://faitan.com/~odashima/
●流山児★事務所のサイト・・・http://www.ryuzanji.com/