muroyanの日記

ピアニスト、作曲・編曲家、むろやんのブログ

国立新美術館「20世紀美術探検」ほか

国立新美術館

 上野、木場、乃木坂と廻りいろいろ展覧会を見てきた。以下、見てきた順。
(1)マーオリ 楽園の神々 ニュージーランド国立博物館 テ・パパ・トンガレワ名品展(東京国立博物館)
(2)悠久の美 中国国家博物館名品展(同上)
(3)第三回 四国地区埋蔵文化財センター巡回展 発掘へんろ−遺跡でめぐる伊豫(いよ)・土佐・讃岐・阿波−(同上)
(4)羽生 出展 面と空間の詩学(東京芸術大学大学美術館)
(5)野田哲也展 日記(同上)
(6)中村宏・図画事件 1953-2007(東京都現代美術館)
(7)邱黯雄(チウ・アンション)展(同上)
(8)MOTアニュアル2007 等身大の約束(同上)
(9)MOTコレクション 1940-80年代の美術 特集展示 闇の中で in the darkness(同上)
(10)国立新美術館開館記念展 20世紀美術探検 -アーティストたちの三つの冒険物語-(国立新美術館)
(11)文化庁メディア芸術祭10周年企画展 日本の表現力 アート/エンタ/アニメ/マンガ(同上)
(12)黒川紀章展 -機械の時代から生命の時代へ-(同上)
●マーオリ
 平成館の片側を使った展示ながら、常設展の観覧料だけで入れる展覧会。にもかかわらず人は少なかった・・・。(今日は初日。)
 ニュージーランドってあまり知らなかったけど、先住民族の生活がかいま見られてよかった。ポスターの、「あなたのこころは楽園をもとめているのじゃよ」のコピーが印象に残る。なんというか、癒される感じ。いつか機会があったら「本当の」ニュージーランドへも行ってみたいと思った。
 なお、運良く10:30から平成館のラウンジで、現地の人々による「カパ・ハカパフォーマンス」の実演を見ることができた。これについては日を改めて書きたい。
●悠久の美
 2回目。今日は珍しく「初めてじゃない」展覧会はこれだけ。いつもなら感想を割愛するところだ。お隣の「マーオリ」とは違って有料なのに結構混んでいた。パフォーマンスの時間が迫っていたので7,8分くらいでささっと廻った。
●発掘へんろ
 四国の縄文時代や弥生時代、古墳時代などの出土品展。「四国へ来てください」のメッセージが強く感じられた。小規模な展示。
●羽生 出展
 芸大退任記念展。今日見た展覧会の中では印象が薄かったが、別に内容が悪いわけじゃない。(僕が悪い。)帰宅してチラシを見たら思い出せた。
 具象絵画と抽象絵画(に見えるんだけど)の二本立て。すっきり分けられるわけじゃないけど・・・。吉原治良なんかもそうなんだけど、具象から抽象を経て平面図みたいなのにたどり着く人って多いんだろうか。この人が(単純に)そうだというわけじゃないけど。この展覧会、このあと駒ヶ根高原美術館に巡回するそうだ。
●野田哲也展
 こちらも退任記念。作品のことごとくが「日記xxxx年x月x日○○○」とタイトルされている。シルクスクリーンと木版の組み合わせ。多様性もあるが統一性もある。こちらは福島県須賀川市のCCGA現代グラフィックアートセンターで巡回してきている。すごい受賞歴だった。
●中村宏・図画事件
 この人の絵、一点だけ教科書か何かで見た覚えのあるのがあった。砂川五番とかいうタイトル。
 一つ目の少女など、グロい感じ(?)の絵が多数。
 金属の既製品を、ちょっと加工して昆虫に見立てている作品が印象に残った。
●チウ・アンション
 30分くらいのアニメーション作品。ちょうど入ったときエンドロールで、次の回の始まりから見ていたのだが、水墨画をアニメーションさせたような作品はちょっと退屈で、5分くらいで出てきてしまった。中国の人だそうである。1972年生まれ・・・僕より若い。
●等身大の約束
 5人の作家による展示。統一テーマが設けられているようだが、5人ともどこまでテーマに沿ってみようとしたのか・・・?
 最後に展示されていた作家「しばたゆり」の作品群が印象に残った。膨大な出展数で、それぞれに少し長めのキャプションがつけられている。兵庫県立美術館で採取した版画(?)みたいな多数の紙を、階段状に天井までつなげた作品は「きれい」で見とれてしまった。
●闇の中で
 特別展の度に展示替えがある常設展。今日は楽しみにしていた「ボランティアの人と廻る解説付きツアー」が研修のためお休みでかなりがっくりきた。一緒に廻るツアーなら常設展を1時間かけてじっくり廻るのだが、今日は20分で見終わってしまった。(3階展示室は2周したのに!)
 リキテンスタインの例のやつなどはいつもあるのだが、今回は「闇の中で」という特集が組まれていて興味深い。会場も夜のような暗さである。月のかけらや、遺影を並べた作品など。
 宮島達男の例のやつに、今回は作家蔵のもう一つの作品が並べられていた。一本の柱状のパネルにLEDがまた1,2,3,....と点灯していくものである。
●20世紀美術探検
 話題の国立新美術館。開館したばかりで、今日は休館日に当たる火曜日だったのだが(火曜休館とは珍しい)、今日は開館していた。
 ・・・というかすごいよこの美術館。この展覧会。このボリューム。最初にセザンヌの油絵があったので、「普通」というか、「ピカソとモディリアーニの時代」みたいなものなのかなぁと思ったら大間違い。20世紀から2006年までの「美術」を回顧してしまおうという、壮大な展覧会であった。
 リキテンスタイン、デュシャン、マン・レイ、ピカソ、草間弥生など知っている作家から知らない作家(知らない方が圧倒的に多いんだけど)まで、油絵もあるしビデオ作品もあるしオブジェもあるしで、ある意味「なんでもあり」。この展覧会だけで1時間所要しました。(1周しかしていません。)
 自分にとって一番印象的で一番足を止めてじっくり見たのが、「音楽」という作品。KAWAIのアップライトピアノが置かれ、機械の「腕」が回り、ときおり鍵盤を押さえては音(音楽?)を奏でていくというもの。偶然性の音楽にも通じるのではないか。
 極めつけは、6人の作家に依頼したというこの展覧会のための新作。一人一人に広いスペースが与えられ、多様な作品群だった。印象に残ったのは、コーネリア・パーカーの作品。銀製品をプレスで押しつぶしたものを、上から床近くにつり上げている。はっとするような美しさだった。
●日本の表現力
 1950年代から現代までのアニメ、マンガ、ゲーム、フィギュア、映像、ゲーム・・・さまざまなものを回顧している。僕の大好きな「ガラスの仮面」もあった。
 一部のゲームは実際に遊ぶことができる。ドラゴンクエスト1(ファミコン)は、初めて触れたが、味わいのある画面だ。(今となっては。)スライムベスを倒すのに3ターンくらいかかったが・・・。(パーティじゃないし。)FF7の(多分)導入部だろうか、緊迫感のあるシーンも操作したが、今でも通じそうだ。
 「やわらか戦車」も展示されていた。(映像と関連グッズ。)
 「未来への可能性」ではインタラクティブな作品などが並ぶ。キーボードで入力された語句を、その場でインターネット検索してグラフィカルに大画面で展示してしまう作品(もちろん「室谷章」で検索しました・・・Google(など)で検索したとおりの結果が表示されました)、自分の名前、生年月日と「死亡年月日」を入力すると、画面に名前と共に「あとどれくらいの時間が残されているか」を表示する作品など。(Macで入力するのは結構大変だった。)
●黒川紀章展
 文化功労者でもあり、ほかならぬ国立新美術館の設計者、黒川紀章の代表建築物の実物大模型などを収めた壮大な展示。
 この人の偉大なる足跡にお腹いっぱいである。もちろん作品(建築作品)は素晴らしいと思うんだけど・・・。
 僕もよく行く埼玉県立近代美術館の模型もあった。
 最後に、国立新美術館の喫茶やレストランには入らなかったが、結構いいお値段していた。無料の休憩スペースも、デザインのいい(そして座り心地のいい)椅子が置かれていた。腰が沈み込むような感じで、ずっと座ったままでいたくなるような、そんな椅子・・・。