muroyanの日記

ピアニスト、作曲・編曲家、むろやんのブログ

舞台 : ガラス玉遊戯公演 「沈み愛」

ガラス玉遊戯「沈み愛」

 久しぶりに舞台を観てきた。下北沢「劇」小劇場にて、ガラス玉遊戯vol.5「沈み愛」。(作・演出:大橋秀和)公演4日目のソワレを拝見。
 今年は全然観劇していなくて、忙しかったりするのもあるけど、はずれの芝居にあたったあとの、虚しさとか、時間を返してよ・・・などが耐えられず、ご無沙汰になっていた。多分今年になってから5本くらいしか観てないんじゃないかな。
 そんな中、この「ガラス玉遊戯」のお芝居は、去年の1月14日に同じ劇場で観たことがあって(ブログに記事があります)、とてもよかったので、今日も期待して足を運んだ。そして、今回もまた、期待以上のすばらしい舞台を見せてくれた。(前回見に行った公演の感想で、ブログに記事を書いたら、しばらくして演出の大橋さんから直接メールをいただいた。ありがたいことだ。)
 さて、今回は大橋さん曰く「恋愛もの」だそうである。友達同士でダイビングに行って、みんなを救助したら自分は視力を失ってしまったという男(急に水面に浮上して、眼圧の関係で失明)、その妻(別れてしまうが)、弟夫婦、「救助された」友達(男女複数人)、失明男の姉と男の職場の部下(女性)を交えて、またまたストーリーが負の方向に、負の方向にどんどん突き進んでいく。好きだなぁ、こういう脚本。
 人間のいやなところをどんどん見せて、ため息しか出てこないような、そんな重く、苦しい舞台でした。役者も好演。台詞の1つ1つがきらきらしているので、役者冥利に尽きるだろうなぁ・・・。演じていてさぞ気持ちよかったに違いない。
 全体を貫くシリアスな雰囲気の中で、何度も笑いが起こる。こういうのも好きだ。個人的にツボ。
 演出家曰く、「建前と言い訳に覆われた作品」だそうで、まさにそんな舞台だった。
 開場前に劇場前で待っていたら、若い兄ちゃんがうろうろしていて、あとで写真を見たら、それが大橋さんだった。軽く驚いたのは、こういう脚本を書くくらいだから、50代くらいのおじさんだろうと(勝手に)想像してて、全然違っていた点。人生の酸いも甘いも解ってる人が書く台本・・・そんな感じだったので。(失礼。)
 惜しむらくは、ラストシーンに納得がいかなかった。(個人的にはね。)ちょっと「救い」を持たせるような終わり方だったんだけど、もっと、観客を絶望のどん底に突き落とすようなラストでもよかったんじゃないかなぁ・・・。どうだろう。
 とまれ、とてもよかったです。ありがとうございました。公演は明日まで。
 今日の写真は、ロビーの様子。
●ガラス玉遊戯・・・http://www.garadama.net/